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新興成長国基礎データ
中国株レポート
・投資の視点
1. 長期投資
としての株式
2. 長期投資
としての日本株
3. 規制緩和と株価
4. 長期投資とし
ての日本国債
5. 子供にたかる
日本人
6. 日本人の年齢
7. 日本が世界に
誇る経営2社
8. 大幅な通貨
調整の歴史


長期としての株式


投資の視点
(その1)

あなたは、様々な投資商品の超長期的なパフォーマンスを見たことがありますか?

投資を専門にされている方でも、少ないのではないでしょうか。

特に日本は第二次世界大戦での断絶がありますから、戦後の歴史は見たことがあっても、戦前も含めた100年〜200年の歴史を見れるものは稀です。


上のグラフは最近読んだ本にあったチャートです。このチャートは実際の株価の推移から、インフレ率を差引いた実質リターンを表したものですからご注意ください。

ペンシルバニア大学のJeremy J Siegel教授が、その著書のStocks for the long runという著名な本を出しているのですが、そこからとったものです。

米英独日4カ国の第二次世界大戦も含めたパフォーマンスを見てゆくと、結構同じような株価推移をしていることに驚かされます。

日独は敗戦で大きなダメージ、特に日本は殆んどゼロになってしまいましたが、超長期的に見てみれば、総力戦を戦って負けたにもかかわらず、英米と同じようなパフォーマンスとなっています。

戦争でゼロクリアから高度経済成長までワンパッケージとなった、なんか大きな振り子のゆれを思わせます。

では、債券のパフォーマンスはどんな風になるか、想像がつきますか?債券の場合は、もっと長いデータがあるので、過去2世紀の流れを見ることができます。

債券と株式の間に、これだけ大きなパフォーマンスの差があるって想像できましたか?

インフレを考えると、債券と株式の間のインフレ抵抗力の差を感じさせるチャートです。

また、一旦、ひどいハイパーインフレーションがやってくれば、債券投資の危険性をも感じさせてくれます。短期投資であれば、債券の安定性は魅力ではありますが、長期投資を考えた場合、その魅力は失せてしまうことを感じます。

上のチャートは、米国に限った過去2世紀の株・債券・金・そして現金のインフレを差引いた実質パフォーマンスです。

インフレによって、現金は紙くずに等しくなった一方で、株式は55万倍に増えました。インフレに強いと思われていた金も、実は違っています。

長い目で見れば、株式投資が一番良い運用手段であることが、このグラフから簡単に導き出されます。

(その2)
リスクを低くするには



上のグラフのようなものを、あなたは見たことがありますか?機関投資家にとってはごく当たり前のグラフなのですが、日本ではさまざまな投資の本や、雑誌を見てもあまりお目にかかれないグラフです。

これは様々な投資商品を、どれぐらいの比率・ウエートで組み入れたら、「最低のリスクで最高のリターン」を得られるかの「エフィシエント・フロンテイア」を示す表です。

一番右の線は、一年間の投資だと考えた場合には、「株100%&債券0%なら、リターンは一番高い9%弱得られますが、リスクも一番高い18%」「株0%&債券100%なら、リターンは4%弱と低いですが、リスクも低くなって9%くらい」

しかし、最も効果的な資産配分は「株5%&債券95%程度で、リターンは4%程度だけれど、リスクは一番低い8%強」という結果を示しています。

実は、債券と株の比較なら債券100%が一番リスクが低いと考えられがちなのが、リスクリターンのトレードオフがあって、株を多少組み入れたポートフォリオの構成が、一番リスクが低くなるということを計算結果から、得たものなのです。

機関投資家は、こうしたシュミュレーション結果に基づいてアセットアロケーションを行うのです。

しかし、グラフの左の20年・30年の長期投資情況を見てください。

一年の放物線のグラフからはかけ離れた、垂直線のグラフになっています。

株が上で、債券が下です。つまり、株100%と債券100%投資のリスクが殆んど変わらないのです。しかるに、パフォーマンスは株が2倍以上です。

一番リスクが低いのは株3分の2、債券3分の1なのですが、株100%と比べて有意差がありませんから、リターンが高い株100%がベストという結論になるのです。

(その3、小型株)

一番簡単な株式選択は、市場全体を買うインデックスファンドであるのは間違いありません。

しかし、インデックスといえども沢山あります。そのなかで、有効なのが小型株インデックスでもあります。

下の表にあるように、パフォーマンスの大きさと時価総額は反比例しています。

また、パフォーマンスとリスクの大きさは比例している事も付け加えなくてはいけません。

1926-1996 年間複利 年間リスク 時価総額
時価総額上位10% 9.8% 18.9% 150,260
10-20% 11.1% 22.4% 6,950
20-30% 11.5% 24.2% 3,240
30-40% 11.6% 26.7% 1,890
40-50% 12.2% 27.5% 1,150
50-60% 11.8% 28.5% 755
60-70% 11.9% 31.0% 521
70-80% 12.2% 34.8% 336
80-90% 12.3% 27.3% 197
時価総額下位10% 13.8% 46.5% 94
      単位:百万ドル

この表は米国市場のものですが、小型株投資が、大型株投資に比べて有利な投資であることを示しています。

理由は書かれていませんでしたが、経験からすると、@小型株ゆえに利益成長性が高い、A一方で、市場参加者にそのプロファイルを良く知られておらず、過小評価された株価になりやすい。ということの、2つの要因があるのではと思われます。

ジョン・テンプルトンの言葉を借りれば、利益成長と市場評価のダブルプレー効果を楽しめるということでしょうか。

しかし、リスクが高いということ、つまり倒産リスク、流動性リスクが大型株に比べて極めて高く、リスク許容量の無い投資家にとっては不向きである事は理解されなければいけません。

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