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大幅な通貨調整の歴史
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投資の視点
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85年のドル調整
背景
- アメリカの経常赤字の増大(海外製品の大量流入、国内空洞化)
- ドルの堅調
- 黒字国への制裁の動き、保護主義の高まり
事実
- 1割程度のドル切下げを図る(プラザ合意85/9)
- 財政赤字削減のグラムラドマン法成立85/12
- 想定レンジを超える3.5割の対円ドル下落。背景は
- 通貨切下げにもかかわらず経常赤字が増加した
- 通貨下落で債権国から純債務国に転落した
- 海外投資家の為替差損が巨額になり海外民間資本の対米投資が急減した
- 議会でのますますの保護主義の高まり
- 通貨防衛の為の金利引上げ(87/9)
- 通貨下落の容認
- 海外投資家の米国債大量売却
- 金利上昇
- 国内投資家の株から債券へのシフト
- ブラックマンデー
その後と教訓
- タイムラグをもって通貨調整による貿易収支調整が効きだしたこと、米国のISバランスが改善したことから、87年以降経常赤字が削減し、ハードランデイングは不発に終わる。
- 米銀のユーロダラーの本支店取引きで海外から米国本店への資金流入が多くなり、資本収支を支えたためドル相場が比較的安定
- 為替の安定により、海外投資家の米国投資が復活。
- 国際通貨協力による公的資本の流入が変動を抑えたものの撹乱要因ともなった。
92年のポンド調整
背景
- 欧州諸国は景気低迷で苦しんでいた
- 欧州通貨統合によってERM参加国の通貨も堅調に推移するとの考えで、機関投資家による高利回りのERM通貨に3千億ドルに及ぶ投資を積み上げた。
- 高利回りとERM統合への期待が為替リスクやファンダメンタルズ分析を無視させた。
事実
- デンマークのマーストリヒト条約批准反対でEMUの先行き不安が起こる
- 東西ドイツの統合でインフレが酷くなる。ブンデスバンクの金利引上げでマルクが対欧州通貨で強くなる。
- 他の欧州諸国も不景気なのに、通貨防衛の為、金利を引き上げる。
- 為替リスクを避けるべく弱いポンド等の通貨から強い通貨への資金移動が発生。
その後と教訓
- 93年にもフランスで同様のことが発生、ERM通貨バンドを緩めることにより、事実上変動為替制になる。
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94年のメキシコペソ調整
背景
- 94年1月のNAFTA成立で、米ドルとの固定相場制に
- 経常赤字が急拡大した
- 不足資金は資本収支の黒字に頼っていた
- NAFTA成立、エマージングマーケットブームで資金の流入が大きかった。
- 国内の貧富の差が激しく、政治不安が起きてきた。
事実
- 94年12月、固定相場制の放棄、以降通貨で52%、株価で37%の下落
- 米国、IMF,BISから528億ドルの資金援助
- 外貨準備は259億ドルから69億ドルへ
- 95年の成長率マイナス4.8%
その後と教訓
- 証券投資が多かったため、資金移動が早く、価格の変動を高くした。
- 米ドル安の原因となり、対円で80円をつける原因の1つとなる。
97年のASEAN通貨調整
背景
- 80年代後半以降の経済急成長で経常赤字が拡大
- 92年以降中国が大きなライバルとして登場
- 95年以降のドル高で通貨価値が大幅上昇、経常赤字が急拡大
- 資本収支は大幅な流入超
事実
- タイで金融不安が発生
- 97年7月以降、大幅な為替調整、固定相場制の放棄
- 他のアジア諸国に波及
- 世界的な株価調整へ
その後と教訓
- 証券投資が多かったため、資金移動が早く、価格の変動を高くした。
- 豊富な海外準備があるも、これが米国債相場、ドルに影響を及ぼす元となる。
いずれも、経済のファンダメンタルズと市場価格の乖離がきっかけの調整となっている。期待と幻影は紙一重であり、現実の直視が重要。
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