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世界銀行はレポートの中で旧共産主義諸国が現在の混乱を乗り越え、発展するためにどうすればよいかを発転途上国が経済成長してきた歴史の検証を踏まえて分析している。
即ち、自由化と安定化、より良いスリムな政府だ。
世界中の有権者と政策決定者は、政府とは何の為にあるのか、又、其の任務の一部が民間機関によってよりよく遂行されるかについて検討するようになっている。
第一に財及びサービスを生産し配分する役割は縮小されなければならない。
第二に政府は民間商業活動の制限や直接統制を止め、金融セクターへの緊密な関与から自らを切り離し、マクロ経済安定の推進と民間セクターの発展と競争を支援する法的制度的環境の整備に注力すべきである。
最後に、すべての人に適切な生活水準を確保するのではなく、収入と福祉に関する個人の責任を育成しなければならない。
資本主義論争(社会主義は資本主義より望ましい経済の仕組みである)の考えの中に、計画経済というのがある。
経済は労働、資本設備、自然資源といった限られた資源を有効活用していろいろな財、サービスを生産し、人々に配分する。
配分は中央に情報を集中して管理し、最高の頭脳やコンピューターで分析し配分することによって全体を統制すれば国民全体に平等で無駄のない仕組みが創れると考えていた。
市場というものは数知れない多くの人々が各自利己意識をむき出しにして行動している。
その為、投機で市場が混乱することがままあるし、弱肉強食のなかで所得の不平等が発生する。
これへの反論としてハイエクは集権よりも分権が優れていると主張する。
いかに能力的に優れた頭脳コンピューターが中央にあっても、そこに正しい情報が集まることは絶対にありえないという。
情報は殆どが「場の情報」であり、局地的なものである。中央に集まるものは数ある情報のうちごく僅かだし、恣意的な情報のみ報告されやすい。
市場はすべての人に心地良いことはない。ある意味では乱高下して暴力的ですらある。しかし、だから中央統制が良いということにはならない。
ただ、真の効率的な弱者救済策が取られるべきというだけだ。また、市場だけが失敗するわけでなく政府もまま失敗する。
焦点を当てるべきはどちらかの選択ではなく、プログラムと結果に焦点を当てることで、提供するサービスの効率と質を改善することだ。
政府と民間の違いは、政府は人の金を使って人の為に何かやろうとするのに対して、民間は自分の金を使って自分の為に何かしようとする人達だ。
どっちが真剣でどっちが正しい判断ができるだろうか。
西ドイツは48年から60年の間に年平均GDP成長率は9%だった。
初期にはキャチアップや外国市場の拡大といった要因もあった。
しかし、ドイツの高度成長持続の鍵は一貫した市場志向型の成長戦略をとったことであり、中でも価格と貿易の自由化、通貨改革、税の引き下げなどであった。
世界中の発展途上国の多くは長い間、保護貿易、資本流入の規制、企業の国営化、規制、計画経済という手法で工業化を進めようとしてきた。
しかし、この方法で成功した国は1つとしてない。
多くの国が規制と保護主義では、上手くいかないと気付き始めた。
1番早く動いたのが韓国と台湾で60年代から海外の企業を優先して誘致する貿易特区という仕組みをつくり、その後輸出主導で目覚しい成長を遂げた。
80年代にはいってタイ、マレーシアといった東南
アジア諸国が自由化路線をスタートし、その後、インドネシア、中国、ベトナムと開放路線を採用したことで、アジア地域は世界で最も成長する地域になったのだ。
南米もチリ、アルゼンチン、メキシコを筆頭に民営化を梃子に市場開放路線をとり、成長が続いている。
東欧でも共産主義崩壊後の混乱を経てハンガリー、チェコ、ポーランドで市場経済が発達し成長の兆しをみせている。
ここまで成長例が続けば管理経済保護主義と自由経済開放主義のどちらが望ましいかは明らかだ。
もちろん、自由経済開放主義だけが成長の原動力ではない。
先進国に対し、安く熟練した労働力、安い地価、豊富な資源といった優位性も必要だし、成長のための投資を可能にする高い貯蓄、再投資のための低い税率も必要だ。
翻って何故日本経済が戦後高度成長したのだろうか?
日本では60年くらいまでは今の米のように貿易の国家管理が行われていた。
しかしGATTの取り決めに基づいて殆どの製品で輸入数量規制を取り止めた。
発展途上にあり、且実際に発展したすべての国にとって広範な自由化と思い切った安定化が必要不可欠なものだった。
自由化とは、価格、売買、参入を国家管理から開放すること。
安定化とはインフレ抑制と国内不均衡、対外不均衡を意味する。
中でも自由化は特に重要だ。
自由化は生産及び取引に関する意思決定を企業及び家庭へと分散化し、中央計画の2つの短所、インセンテイブの不足と情報の不足に直接的に取り組む対策だからだ。
自由化は企業を顧客の需要、利益動機及び競争にさらし、相対価格を真の不足に対応させる。自由化された市場は、情報を中央の政策担当者よりもうま処理する。
又、財とサービスが自由に取引されれば神の手による価格メカニズムが需要と供給をマッチさせる。
多くの場合結果は効率的だ。競争的市場は、それを支える制度とあいまって、技術変化と組織変化を生じる力強いプロセスを引き起こす。
自由化は、資源の配分に関る政治の関与をなくすことにより、政府が企業への補助金を削減する事を容易にし、それによって経済安定化を容易にする。
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