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10%の資産運用利回りを実現するために知っておくこと |
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投資にとって「プロとアマチュアの差」が最も大きいのが、リスク管理についての差です。
アマは、投資に失敗しても仕事も金も両方無くなるということはめったにありませんが、プロの場合は第三者のお金を預かって運用していますから、投資に失敗すると、お金が無くなるだけではなく、仕事もなくなってしまうのです。
そんなことは嫌ですから、できるだけ投資に失敗することは避けようとします。そして、リスク管理を徹底的に取り入れます。
かんたんも、投資のプロですからアマチュアみたいな仕事はしません。
投資についての話をするときには、投資リスク管理を最も重要視して話をしています。お金を頂いて発行している徒然などは、最も気を配っています。
もっとも、リスク管理についての話は、当社でしっかり考えた後で書いているので、皆さんもご存知のことと思い、徒然などで改めてするようなことはしませんでした。
しかし最近はリスク管理について、もっともっとしていかないといけないなと思うようになると思わせることが起こってきています。
そこで、今回は読者の皆さんのポートフォリオ作りをする上で欠かせないリスク分析について書いてみます。
まず、かんたんは、最低でも年間10%以上の資産運用利回りを顧客に達成していただきたいという目標があります。
実は、この目標は極めてチャレンジングです。
もし、徒然のアドバイスで運用する資金が、あなたの資産の1割しかないのであれば、資産運用利回りが100%という極めて高いリターンを達成しなければならないからです。
ウォーレンバフェットのような生きた伝説の投資の導師でも、年間25%の利回りでしかありません。
かんたんは、無理に利回りを上げようと、ハイリスクをとるようなことはしません。あなたに資産の中から投資に回す部分をもっと増やすように説得しようと思っています。
あなたの資産の半分以上を徒然アドバイスで運用していただけるようになれば、年間10%の資産運用利回りが達成できるからです。
徒然でのリスク管理は、そうする意味のあるものだからです。
徒然では、大きく分けて3つのポイントからリスク軽減策をとっています。
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ローリスク・
ハイリターン
投資の原則 |
- 安全域を確保した価格タイミング
- 長期収益力を重視
- 地域や通貨を分散した銘柄・ファンド選択
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1)2)とは、要は、実態利益の増えるものを安く買うってことです。前回も説明しましたよね。
市場で売買される商品は価格変動リスクがあります。株式にしても、ファンドにしても同じです。
「だから、上手く当てれば儲かるが、失敗すると損する」のが投資だと思われがちです。
しかし、株やファンドを良く見ていくと、投資した結果が失敗と思われるときでも、プラスのリターンとなるものが中にはあります。
下の図の左上に属する株やファンドです。
赤線の左上に属する株やファンドになら、資産の大きな割合を投資することが正解です。 |
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この図の赤線の左上に属する株やファンドだけを買っていけば、上手く行けば大きく儲かる一方で、失敗したときでも損はしません。
失敗しても預金などで置いておくよりも儲かります。
しかし残念ながら、あなたの身近にある日本株やファンドには、こうした赤線の左上銘柄は少ないのです。
圧倒的多数は、赤線の右下に属しています。 |
日本株の多くはリスクに見合ったリターンが得づらい |
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このため、日本株やファンドに投資をするよりも、預金を選好する人が圧倒的に多いのも当然です。
具体的に見てみましょう。
下のグラフは、代表的な日本株と、日本株全体をあらわすTOPIXリスクとリターンの相対位置です。
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過去5年間の株価からの計算。SBはソフトバンク |
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すべてが、真ん中の赤線の右下にあります。
このことは、とったリスクに見合ったリターンが得られないと言うことを意味します。これらに投資することは、過剰にリスクをとるということなのです。
右上にあるソフトバンクは、過去5年間に市場人気の過熱が2回もあったために、年88%と高いリターンになっています。
しかし、リスクがリターンを上回るほど大きいのです。つまり、損をする確率も高いと言うことです。
下の表を見れば、過去5年が株式の下落だったとはいえ、いずれもが、リターンに比べてリスクが非常に大きかったことが分かります。
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こうした銘柄やファンドにある程度の期間(計算では3年間)投資したらどうなるでしょう?
シミュレーションしたのが下のグラフです。これは100円を投資したときに3年後にいくらになっているかを表しています。
赤い丸が、平均のリターンです。クリーム色の四角は1標準偏差内の結果を、上下に伸びるヒゲは、2標準偏差の結果を表しています。
わかりやすく言うと、ソニーの場合はこうです。100円の投資金額が149円に増える(赤丸)。
当然、リターンのブレがありますが、68%の確率でクリーム色の四角の範囲に収まる。悪い時は100円が67円に減ることもある(四角の下線)一方で、良い時は280円にまで増える(四角の上線)治まる。
もっと極端な事が起こった場合、1.5%の確率で100円が17円になる(ヒゲの下端)し、上手く行けば1.5%の確率で515円になるということです。つまり、97%はヒゲの上端から下端の範囲におさまると言うことです。
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あくまでも、過去のリスク・リターンから計算したものです。 |
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注目していただきたいのは、全ての銘柄が赤線の元本にかぶってしまうと言うことです。思い通りにいかなかった場合、全ての銘柄のリターンがマイナスになってしまうということです。
リスクに見合ったリターンが得られない銘柄に投資すると、損失の可能性が一定の確率で起きてしまうのです。
こうしたハイリスク・ローリターンなものはあなたの資産の多くを投資することはできません。せいぜい、お遊び程度のお金ぐらいに留めておくのが賢い選択でしょう。
では、今までに徒然で紹介してきた株やファンドのリスクとリターンの関係はどうなっているのでしょう?
下のチャートをご覧ください。◆青い菱形が徒然で紹介してきた銘柄群です。
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徒然銘柄はローリスク・ハイリターンを選ぶ |
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ほとんどの銘柄が赤線の左上にあります。つまり、とったリスク以上のリターンが得られることを示しているのです。
ほとんどの銘柄が、上記の日本株よりリスク(つまり変動性)が少ない一方でリターンが大きくなっています。ローリスクながら、ハイリターンというわけです。
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●●、●●、●●は上場後間もなく、データ数が足りないので除いた。 |
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この徒然銘柄のリスク・リターンから3年後の株価を予想してみると下のグラフのようになります。
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あくまでも、過去のリスク・リターンから計算したものです
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先の日本の代表銘柄と比べた場合、2つの違いがあります。
(1)多くの銘柄の四角やヒゲの長さが短いため、価格の動きが
比較的落ち着いている。
(2)多くの銘柄が、赤線に接していないこと。
つまり、思惑と外れても損しないこと。儲かること。
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あくまでも、過去のリスク・リターンから計算したものです |
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徒然で選択する銘柄と言うのは、この2つを満たす銘柄を選び出すことによって、あなたが投資をしていても安心してホッタラカシできる状況を狙っているのです。
例えば、日本株で高リターンだったソフトバンクと徒然銘柄の●●を比べてみましょう。
両社とも、平均リターンを示す赤丸は似たような位置にあります。
しかし、●●はひげの長さが短く、かなりの高確率で3年後の投資結果が予想できます。このため、●●を買って持っていれば、買ったことを忘れてしまっても問題ありません。
一方のソフトバンクは、ヒゲの長さが長くて株価が日々大きく動きます。このため、損をしてしまうこともありますので、四六時中監視していないといけません。
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あくまでも、過去のリスク・リターンから計算したものです |
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もし、あなたが投資するのなら、どちらに多く配分しますか?
徒然は、同じリターンが得られるのものでも、なるだけ採るリスクが低いものなら、資産の多くを投資できると考えて選んでいるのです。
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リターンを変えずに、リスクをさらに低くするポートフォリオ投資 |
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リスクを減らすための3つ目として、
3)の地域や通貨を分散した銘柄・ファンド選択
ということをしていることも、上手く活用して欲しいと思います。
徒然で紹介している銘柄は、地域的や通貨を1つに偏らずに、なるだけ分散するようにしています。
投資されるあなたには、難しく感じられるかもしれませんが、意図的にしているのです。
もし、1つの市場や地域の株式市場に変調が起こった場合でも、それを乗り越えて資産が増えるようにするためです。
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下の表は、徒然紹介銘柄間の共分散の相関度を示したものです。
数値が1に近づけば、その2つの銘柄の価格は連動した動きになることを示します。反対にマイナス1に近づけば、株価は全く反対の動きをすることを示しています。
数字を1つづつ見る必要はありません。この表には、反対の動きをするという意味のマイナスの相関(赤字部分)を持つ銘柄が結構あると言うことです。
こうした状況を、銘柄選択によって意図的に作り出すことによってポートフォリオ全体のリスクを下げることが出来ているのです。
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下のグラフは、徒然銘柄を使ったもっとも効率的な銘柄配分のシミュレーションです。オレンジの菱形が、効率的な分散保有をした場合のリスクとリターンの分布です。
いずれの菱形も、個別の銘柄のリスク・リターンよりもリスクが低下しています。つまり、徒然紹介銘柄の中から、自分の好みの銘柄に投資するよりも、なるだけ多くの銘柄を購入していく方が、リターンは変わらないけれどもリスクが減るというわけです。
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徒然銘柄を多く持てば債券投資並みの低リスクに |
例えば、下から2番めのオレンジの菱形のような、銘柄配分にすれば、年間のリターンが27%をとりながら、リスクは債券に投資するものよりも低いリスクで済むというわけです。
こうしたポートフォリオが組めるのであれば、リスクが変わらずにリターンが格段に上昇するのですから、預金や債券などにおいてあるものをスイッチした方が良いわけです。
上から2つ目のポートフォリオは、もっと高い年100%のリターンを狙う組み方です。100%という高いリターンを狙いながらも、リスクは日本株や世界株のインデックスファンドに投資するよりも低いリスクですんでしまうという事になります。
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こうした配分の仕方は、分散しきれる投資金額と、狙いたいリスク範囲などをしっかりと知る必要がありますので、個別相談での対応になります。
しかし、最低でも知っておいて欲しいのが、徒然銘柄は分散して多く買えば買うほど、リスクは着実に低下するというように設計されているということです。
他では絶対に得ることができないものなのです。
ぜひ活用して分散してください。
また、徒然では何回も、●●が資産を増やすための基本だから、運用資産の半分は●●に投資をして欲しいと言って来ました。
これも、しっかりとした理由があります。
徒然で薦めている●●のような●●を5割買い、残りを徒然銘柄で運用した場合に、リスクが最も、しかもリターンが高まるからです。
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上のグラフで、●●と徒然銘柄の配分で最もリスクの低くなる比率が5対5と言うことが分かります。
しかし、シミュレーションした結果は、●●を半分買い、残りを徒然銘柄に分散投資すると、年間リターンは42%が見込まれます。2年で2倍に、7年で10倍以上になる計算です。
ところが、このハイリターンのためのリスクがたったの5%という低リスクで済むのです。
このため、買ってしまえば本当にあとはホッタラカシでも、下のグラフの結果になるのです。
もちろん、ここでしているのは過去のデータからのシミュレーションですから、将来リターンは不確実です。しかし、リターンは不確実でも、リスクは過去も将来もさほど変わりません。シミュレーションは、リスク分析に使えば大いに役立つのです。
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徒然は、名前の知られていない外国銘柄を多く取り上げています。このために、投資をするのに躊躇されることもあろうかと思います。
しかし、毎号の徒然を読んでいただいてお分かりのように、選んだ銘柄を経営者や事業内容分析といった定性的な面からも、決算書類分析といった定量的な面からも検証を加えて、不測のリスクをなるだけ排除しようとしています。
加えて、今回ご紹介したように、ポートフォリオインシュアランスの面からもモダンポートフォリオ理論からの検証も加えたチェックをしています。
安心して投資していただければ幸甚です。
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