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下記の有料メール徒然で2010年6月14日発行です


有料メール徒然 徒然Vol.322

配当の安定成長は競争優位性と継続ビジネスの両輪で成立

徒然では「市場の長期下落でも、それが収入増をもたらす配当成長株」の3回目を書いていきます。前号では、こう書きました。
vol.321 配当支払いは「現金の社外流出」ですから、手持ち現金やその元となるフリーキャッシュフローが十分でなければ、継続して支払うことはできないのです。こうした仕組みを知っていれば、その株からの高配当が継続するかを見極めることが簡単にできます。2つのことをすればよいのです。1つは、その会社のフリーキャッシュフローの長期推移を見て、安定しているか、増加傾向にあるかどうかをみる。

1つは、フリーキャッシュフローが配当支払い額よりも十分に多いかをチェックします。この2つとも該当するなら、その株の配当は、経営者がよほどの変人でない限り、それまでの傾向通り増配してゆくことは容易に想像できるでしょう。ですから、この2つをあなたが年に1度でもチェックすれば、あなたの投資は安全で高い収益になれるのです。

そして、継続してフリーキャッシュフローを増やせる企業を見つけるには、「日銭」というキーワードで「日銭という安定収入源を持っている構図が、継続的かつ豊富なフリーキャッシュフローに繋がり、配当成長株投資の候補として相応しいのです。」と書きました。

今号では、継続してフリーキャッシュフローを増やせる企業の多い条件の1つ、「日銭と言う継続ビジネスを持つ企業」の他に重要な条件についてです。それは、競争優位性を持っている企業であることです。競争優位性を持っていると書けば、様々な要素が挙げられます。代表的なものは以下の項目です。
  1. 特許、認可等の公的な参入障壁
  2. ブランド、トレードマーク等のマーケティングの差別化
  3. コスト安やスケールメリットによる価格の差別化
  4. ネットワーク効果による代替障壁
  5. 他のものに変更することが煩わしいというスイッチングコスト
上記のような競争優位性を持ち、日銭を稼げる商売であることが、安心して配当成長株として何十年も持ち続けることが可能なのです。では、競争優位性の要素それぞれについて、実例でみてみましょう。前号で日銭を獲得できる事例として、携帯電話を主とするテレコム会社について書きました。当てはまる例として、FTE、DT、PHI、Tを挙げました。一方で、安定したフリーキャッシュフローが満足に得られない業界の1つとして、資本財企業や大手石油メジャーをとりあげました。

配当成長目的にかなうけれども、中期で狂う要素もある石油メジャー株
前号で書いたBPの原油流出事故は、一時的なものだと思っていましたが、対応がBP首脳もオバマ大統領も悪いので、これは1987年のテキサコのように倒産にまで行き着く可能性がでてきました。大手石油メジャーについては、競争優位性についても見ていきましょう。下の図は大手石油メジャーのトップのエクソンモービルです。配当は毎年着実に増えており、配当だけ見ていたら成長率こそ1ケタではありますが、そう悪くはなさそうです。

しかし、フリーキャッシュフローでみると、その見かたは一変します。2004〜2008年までは安定して上昇を保ってきた原油価格に沿ってフリーキャッシュフローは増えてきましたが、2009年以降は大きな減少を示しています。販売価格が急落したためです。

大手石油メジャーは世界中のガソリンスタンドへの供給によって、あるいは石化会社に安定して商品を供給する安定収益企業です。そういう意味では日銭が稼げるビジネスです。また、競争優位性という意味では、油田の開発にとてつもなく大きな資金がかかりますから、新規参入企業はあまりでてきません。日銭、競争優位性の2つの面で条件をクリアしています。

しかし、問題が1つあります。それは、石油メジャーの供給する製品は、品質がライバルと変わらない汎用性の高いコモデティーであることです。エクソンのガソリンも、シェルもBPでも同じです。こうした汎用性の高いコモデティーであることは、需給が緩和して買い手優位の状況になると、販売価格が暴落してしまいます。

よって、長期で見れば配当成長株として良いかも知れませんが、中期的な景気・需給サイクルの中では大きなセットバックがあるということです。原油株を配当成長株として買うときには、こうしたリスクをあらかじめ想定しておいてください。

安定を望むなら、配当利回りは低いけれども、収益の安定しているXOMがこの業界の中ではよさそうです。徒然銘柄であるペトロチャイナもこのカテゴリーに入ります。配当利回りも継続して3%を超えています。ただ、PTRの場合は2006年の配当をピークに支払額が減る傾向にあります。

これは、PTRが中国と言う、石油需要が今も今後も大きく高い需要急増国の国策会社ですから、しかもそのボリュームはとても大きいですから、PTRの最優先課題が、安定的に原油を調達することです。そのために必要な設備投資額はとても大きなものになります。このため、PTRの営業キャッシュフローがいくら大きく増えようとも、その多くが投資に向けられてしまいます。

配当を政府を含む株主に多く支払いたいという考えは強いですが、配当成長株として魅力が生まれてくるのは、中国の石油需要に天井感が出てくるころまでまたなければいけないかもしれません。新興国の株は株価成長・業績成長という面では魅力が大きいのですが、配当成長株としての魅力が出るにはもう少し時間がかかるのです。
配当成長目的に相応しいが、フリーキャッシュフロー以外にポイントがある
徒然として配当成長株としての魅力を感じる業種の1つは医薬品株です。グラクソについては前号で書きました。配当成長率は1ケタの後半ぐらいに留まりますが、現在の6.1%という高い配当利回りが、あなたの投資にとって最低のGSK株からの簿価配当利回りになることが理解できたことでしょう。

もう1つの徒然医薬品株のサノフィ・アヴェンティスも見ておかなければなりません。SNY株は2002年のADR上場以降、毎年大きく配当を成長させてきました。現在の配当利回りは5.6%ですからGSKに引けを取りません。

そのキャッシュフローを見れば、傾向としては順調に営業キャッシュフローもフリーキャッシュフローも成長していることが分かります。現在の一株当たりフリーキャッシュフローが3.6ドルに対して配当は約1.5ドルですから、2倍以上に増配する余地があります。

SNYの株価は来年抗血栓薬のプラビックスなど、主要大型薬が2014年までに特許切れを迎えますので、業績悪化懸念が強くて株価は低下しています。しかし、日本でも展開を始めたジェネリック薬やワクチンや新興国への販売拡大、そして豊富な新薬発売等でカバーし、少なくともキャッシュフロー拡大の面では高水準を維持しています。

ということは、特許切れの影響を受ける2014年までは株価の上値が重い中で、フリーキャッシュフローはそこそこ高水準を維持することになります。安値時期が長いと良い配当成長株投資にとっては良い時期です。
SNYのように、主要薬の特許切れが悪影響を多大に及ぼしている製薬会社が数多く存在します。次のブロックバスター薬を開発しないと業績がこれまでのような高収益にならないという恐怖感が製薬会社株の株価を大きく押し下げています。

大型主要薬剤の特許切れによる業績悪化は否定することはできません。ありがたいことに、株価の下落率はその業績悪化を大幅にしのぐ下落率ですから、バリュエーションとしては非常に割安なものが多いのです。私どもとしては10年先、20年先の売り上げ・利益の柱になる新薬パイプラインを確認して投資することが出来ますから、投資としては非常に楽で長期リターンの高いものになることが多いのです。

ですから、配当成長株投資で、製薬会社株を選ぶことは大きな意味があります。しかもGSKやSNYには現在配当利回りが及ばないものの、株価安で利回りが足許上昇していますから、薬品株はウェートを多くしておくべきでしょう。

例えば、メルクもその1つです。主要薬剤で売り上げがそれぞれ3千億円以上ある高血圧症薬のコザール/ハイザールが2010年に、気管支喘息治療剤のシンギュラーが2012年に特許切れになる など、厳しい状況にありましたが配当はずっと同じ水準を維持し、今では4.5%にまでなっています。

メルクのキャッシュフローが2009年に大きく落ち込んでいるのは、2009年末に同業のシュリングプラウ社を買収したためです。特許切れによる売上減少を「時間を買う」M&Aで補ったわけです。この2社は重なる薬剤が少なく、補完関係にあることやシュリングプラウ社の新薬パイプラインが豊富なことから、良い経営判断だと思われます。

この合併効果が早速今年の決算から出ていることから、同社のフリーキャッシュフローも急速に復活するものと見られます。ですから、配当成長株投資には適格になるのです。フリーキャッシュフローの動きだけでは「投資不適格」となりそうなメルクですが、こうした特殊要因も入っていることがあると覚えておいてください。

薬品株の中で最もきれいな増配トレンドを示しているのがイー・ライ・リリーです。過去10年間の平均6.6%の継続的増配と、10年継続株価下落という「株価が下がって増配なんてあるの?」という疑問を打ち消す実績を示しています。増配と株価下落の組み合わせは高配当利回りです。現在は過去四半世紀なかった最高の利回りになっています。

それだけ株価が安くなっているのだから、業績がとても悪いのだろうと思えば、けっこう高レベルのフリーキャッシュフロー水準を示しています。配当が2ドルですが、実績フリーキャッシュフローは3.3ドル、予想は4ドルと十分な増配余地を保っています。ただ、LLYの場合はこれからが特許切れの悪影響が出てきます。

今年中に抗がん剤のジェムザールが、2011年にはトップの抗精神病薬ジプレキサが特許失効します。この激震に備えるために、2011年までに従業員を3割削減して固定費の大幅削減を図っています。特許切れで投資家が懸念するようなことは、会社も何年も前から百も承知です。それに備えて、コストカットやM&A等の出来ることはしているのです。単純に悪影響だけを見ていると片手落ちです。

LLYは3割の人員縮小以外にも、積極的にM&Aの機会をうかがっており、配当よりも買収資金となる可能性が高いでしょう。誰からもわかる特許切れの悪影響を、経営力でどこまでカバーできるのかという冷静な視線と、現在の株価は長期的なフリーキャッシュフローに対して割安か割高かというだけです。
LLYと同じような状況がうかがえるのがブリストル・マイヤーズ・スクイブです。総売上高の10%弱を占め、製品別売上高トップの抗血小板薬プラビックスが2011の特許失効他、売り上げの約半分近くが今後5年以内の特許切れです。従業員全員の昇給ストップなどの荒療治に踏み切っています。

フリーキャッシュフローを見る限り、順調に伸びていますが、競争優位性の源泉である主要薬剤の特許状況を見ずに投資すると厳しいでしょう。では、他の大手のように買収に活路を見いだせるかと言うと、それは厳しい。ブリストルの規模ですと逆に買収のターゲットとしてみられており、既に買収の噂も聞こえています。買収されてしまったら、買った側の株がメインになってしまいますら、長期投資としては落第です。


利回り的には、現在の利回りが3.4%と低めながら、ジョンソン・エンド・ジョンソンの配当は過去10年で10%と二ケタ成長を維持し、この株の中では過去30年以上なかった格好の買いチャンスとなっています。

同社の売り上げの4割を占めている医療品部門は現在、売上高の40%を占めていて、ライバル同様に今後10年で本格的な特許切れを見せます。この影響で医薬品部門の売り上げの30%ほどまで縮小しそうです。この意味では、ライバルの薬品メーカーと同じです。

しかし、JNJの競争優位性は特許だけにあるのではありません。売上の6割は医療機器と消費者向け製品で成り立っています。この2部門はトップか2位の市場シェアを持っているマーケティング的に優位性を持つ商品がほとんどを占めます。そして、この2部門は新興国をはじめ成長余地が大きいので、収益が二ケタペースで成長しそうなのです。

先に「医薬品部門の売り上げの30%ほどまで縮小しそう」とは書きましたが、あくまでも残りの2部門の高成長による相対的な落ち込みに過ぎません。医薬品部門は他社と違って特許切れによる売り上げ減と言う悪影響を既に一巡させていて、今後の悪影響はむしろ業界内では小さいのです。

しかし、下のフリーキャッシュフロー推移を見る限り、特許切れによる売り上げ減は全く影響していません。ならば、今後はさらに高いスピードでフリーキャッシュフローは増えそうな気配です。ならば5ドル以上のフリーキャッシュフローに対して2ドルの配当はいかにも少なすぎます。投資対象薬品株としては魅力的なのです。
薬品株の最後に最大手のファイザーを見てみましょう。残念ながらファイザーの配当は2008年の1.2ドル強をピークに下がっています。一時は7%に達していた配当利回りも4.9%にまで下がっています。
この減配と株価下落の要因は年間1兆円超の売り上げを誇る高脂血症治療薬リピトールが2011年に特許切れとなることからくるが大きい懸念でしょう。リピトールの総利益率は9割を超えるでしょうから、これが大幅減収となればその粗利もまた1兆円も減ってしまいますから。

しかし、PFEは2010年初に世界第9位の薬品会社ワイスを6兆円で買収して売上とバイオ医薬品とワクチンの競争優位性を獲得しました。このせいで、2010年のキャッシュフローは大幅に減っています。これもまたM&Aによる例外的な減り方です。

ワイス買収を受けて今年の業績は好調を示すでしょう。ただ、2011年には1兆円の粗利商品による大打撃が待っていますので、PFE株を買い進めるなら、リピトールの悪影響を十分に織り込んだ株価になってからが良いでしょう。その日はさほど遠くはないと思います。

こうして主要医薬品会社を見てきましたが、いくつかの例外を除いてキャッシュフローが潤沢で配当増額余地が高い株がほとんどでした。しかし、前号で書いたフリーキャッシュフローだけを見て投資判断すると誤った銘柄を選んでしまいます。(買うべきメルクやファイザーを外し、買わない方が良いBMYを買うことになりうそうです)

製薬会社の競争優位性の源泉の特許の有効期限の実態を見ないとダメだということがお分かりになれたでしょう。しかし、新薬パイプラインと特許切れの影響を加味してみるだけで、医薬品会社への配当成長狙いの投資はかなり有効だということも分かったはずです。
配当成長目的に最も相応しい非耐久消費財株
私どもは配当成長株投資をするなら、ポートフォリオのコアは非耐久消費財以外にないと思っています。先に、競争優位性の背景について5つの項目を指摘しました。この5項目の中で、最も優位性が永続するものは何でしょうか?
  1. 特許、認可等の公的な参入障壁
  2. ブランド、トレードマーク等のマーケティングの差別化
  3. コスト安やスケールメリットによる価格の差別化
  4. ネットワーク効果による代替障壁
  5. 他のものに変更することが煩わしいというスイッチングコスト
vol.321で書いたテレコム業界は、認可による公的な参入障壁と、ネットワーク効果による代替障壁、そして他のものに変更することが煩わしいというスイッチングコストの3つの競争優位性がありました。薬品メーカーは、特許と認可による公的な参入障壁と、他のものに変更することが煩わしいというスイッチングコストの2つの競争優位性がありました。

私はテレコム産業も薬品業界も競争優位性を発揮しているとは思うものの、一番永続する競争優位性はブランド、トレードマーク等のマーケティングの差別化、そしてネットワーク効果だと考えます。なぜならば、特許や認可はいつかは自分以外の要因で終わりがやって来ます。価格の優位性は、競争によって利益を損なうことがありえます。

ネットワーク効果とスイッチングコストは、いずれも強力な競争優位性です。ただ、ネットワーク効果が発揮されるまでには、他の多くの人々の協力が必要です。スイッチングコストは、他の画期的な手法が出てくると失われることがあります。いずれも、長く有効性を保てるけれども永続できるわけではないというわけです。

マーケティングの優位性も同じように永続するものではありません。しかし、マーケティングは客の心に直接響くものであり、販売側の継続的な努力で他に影響されずに継続できるものです。しかも、マーケティングの優位性が客の心に確立すると、簡単にライバル等にシフトする可能性は低くなります。

そして、ブランドが一旦確立すると単品の売り上げが大きなメガブランドになりますからコスト優位性も生まれます。マーケティングの優位性を存分に発揮しているのが非耐久財を扱う日用品株たちです。非耐久財や日用品の多くはスーパーなどの小売店で、買い物客の無意識の選択で1秒もかからずに購買決定されます。

その自動購買のトリガーを引くのがマーケティング活動で買い物客の無意識に住み着くことです。こうした無意識への働きかけが強力ですから、非耐久財や日用品株の業績は安定成長を長々と続けられるのです。P&Gは54年も増配を続けていますし、J&Jは48年、アルトリアは42年、ペプシコは38年という具合にかなり長く高収益が続きます。

そして、過去50年の間に最も投資家のお金を増やしてくれた株は、タバコのアルトリア・グループ(MO)で、ハイテク会社や燃料会社を凌いでいます。vol.321でMOの強いフリーキャッシュフロー増加について書きましたが、今号でも代表的な非耐久消費財株について見てみましょう。

マクドナルドは2003年以降の配当の増え方が急で過去10年の配当成長は28%と言う超高ピッチです。これは、2002年以前の業績はほとんどフリーキャッシュフローが無い状態から、低額メニューそしてプレミアムメニューの導入によって高い成長を始めています。フリーキャッシュフローと配当額推移を一緒に見ればきれいに一致しています。

欧州の日用品会社のユニリーバも配当が右肩上がりで成長しながらも、今の利回りが4%と高い利回りを実現してます。非耐久消費財会社にはこのようなきれいな右肩上がりの配当成長企業が多く、投資家に安心感を与えています。一方で株価も右肩上がりとなり、一定の配当利回りを継続することが多いようです。ユニリーバの場合は欧州株と言うこともあり、割安低PERであることが多く、配当利回りは2%超である時期が多いのが特徴です。

ユニリーバのキャッシュフローは一定の幅の設備投資を除けば、営業キャッシュフローのかなりの部分がフリーキャッシュフローとして残ります。これと同じ状況は、MCDも、PGも、PEPも一緒です。そして、フリーキャッシュフローの約半分が配当として支払われています。
このように、フリーキャッシュフローに余裕があり、配当も十分な余力で成長できるのは、大手非耐久消費財企業が数多くのメガブランドを持ち、高収益率が確保できているからです。ブランドビルディングで顧客の心をつかみ、1商品を世界で多く売ることが出来るので、スケールメリットが発揮されているのです。
上のグラフにも登場するコカ・コーラも右肩上がりの配当成長を達成しています。ただ、他の銘柄と異なり配当利回りが3%に少しだけ満たないのですが、成長率は10%をクリアしています。今言えるのは、ウォーレン・バフェット氏の最高の投資事例の1つと言われるコカコーラ投資をしたときと似た配当利回り、バリュエーションとなっていることです。
コカ・コーラのキャッシュフローは全般に右肩上がりを継続しています。これはライバルのペプシコと同様です。配当余力はフリーキャッシュフロー約3ドルに対して約1.7ドルですから増配余力は十分です。

こうして非耐久消費財企業を今回は3社、前号でMO、PG、PEPと3社見てきました。フリーキャッシュフローと配当の関係は、他の業種以上に安定してフリーキャッシュフローが右肩上がりで、しかもフリーキャッシュフローの約半分の配当支払いでしたから増配余力は十分です。

しかも、フリーキャッシュフローの元となる競争優位性はメガブランドを数多くそろえることが出来るブランドマーケティングの巧みさを持っており、収益の永続性が担保されています。こうしたことを考え合わせると、配当成長株投資に非耐久消費財投資がコアになるというわけです。

ただ、残念ながら配当成長率が10%を超える非耐久消費財企業は多いのですが、5%を超える現在配当利回りを確保できるのはMOぐらいです。時間的余裕のある方向きということになります。今号、前号で数多くの非徒然銘柄を事例としてとりあげています。すべて徒然銘柄として採用するわけではありません。

あくまでも、配当成長株投資をするなら、今回例示したようにフリーキャッシュフローで見るんだということと、その背景として(1)日銭を稼げるビジネス、(2)競争優位性があるという条件を満たすことを示す事例として用いています。

しかし、魅力的な銘柄も数多いことも事実です。JNJやUNあたりはかなり前から紹介予定でしたが、ようやく株価が下がって配当利回りが上がっており、次号以降で徒然本採用として詳しく紹介したいと考えています。

2017/07/09に付け加えた注記 
   
2010年に書いた上記の銘柄の株価と配当がどう推移してきたかを下図で示します。現時点の配当利回りは、現在の1株配当を2010年6月時点の株価で割ってお求めください。(投資家の得る簿価配当利回りです)

PEP
 
 
XOM
 

PTR
 
 
SNY
 
 
MRK
 
 
LLY
 
 
BMY
 
 
JNJ
 
 
PFE
 
 
MCD
 
 
UN
 

KO
 

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